アイ メディカル クリニック 高尿酸血症

この病気の怖さ

高尿酸血症の状態が長く続いた結果、関節組織に尿酸が貯まり、それが強い炎症を起こした状態が痛風です。ですので、痛風は高尿酸血症のひとつの極限形態(=発作)とも言うべき事態です。痛風の痛みは激しく、そよりと風がふいただけでも激痛を招く事から、この名が付いたと言われています。
しかし本当に怖いのは、痛風よりも腎不全です。腎不全の原因も痛風と同様で、尿酸の腎臓組織への沈着です。高尿酸血症の患者さんは、痛風発作が起きると心配になって薬を飲み始めますが、収まって暫くすると、薬を飲むのを止めてしまわれる傾向があります。糖尿病や高血圧のように、「脳卒中や心筋梗塞に繋がる怖い病気」というイメージ拡まっていないこともあり、きちんと薬を続けて頂けない場合が多いように感じます。腎透析になる原因疾患として、糖尿病に次いで二番目にランクしている調査もあります。もう少し世の中に、この病気の怖さが伝わってもよいと思うのですが・・。

 

薬物療法

食持事療法や運動療法が基本となることは、他の生活習慣病と同じです。
薬物治療の適応に関しては、次のように定められています。
 ●血清尿酸値9ml/dl以上 → 全員
 ●8mg/dl以上9mg/dl未満 → 痛風発作がある場合、または合併症がある場合
 ●7mg/dl以上8mg/dl未満 → 痛風発作がある場合
*ここでいう合併症は、糖尿病、高血圧 脂質異常症などの他の生活習慣病、及び腎障害や尿路結石などです。

 

★尿酸生成抑制剤(アロプリノール)
商品名はザイロリックです。キサンチンオキシダーゼという酵素の働きを阻害することにより、体内での尿酸の生産量を抑えます。腎障害のある方への投与は、注意が必要です。

 

★尿酸排泄促進剤
ベンズブロマロン(商品名ユリノーム)、プロベネシド(同 プロベネシッド)、ブコローム(パラミヂン)の3種類があります。作用機序からいって、腎臓の働きが弱い場合、効果が弱くなります。

 

★尿アルカリ化薬
痛風の方は尿が酸性傾向であることが多く、それによって尿路結石が生じる頻度が高くなります。尿をアルカリ化することによって、尿酸結石の発生を予防するのが、これらの薬の役割です。重曹又はクエン酸製剤であるウラリット(商品名)が用いられることが多いです。

 

★コルヒチン
痛風発作を抑える薬として、紀元前から使用されてきた薬剤です。発作の極期より予兆期に服用した方が、効果が高いです。(数回痛風発作を経験すると、”そろそろまた来るな”という発作の兆しを感じるようになります。)

 

★ステロイド薬
痛風発作時にステロイドを内服あるいは関節内注入することは、賛否両論ありますが、劇的な効果をもたらす場合があることも事実です。

 

 

遺伝の影響

 

近年高尿酸血症にかかわる遺伝子が各国で発見されており、従来のような食事一辺倒の考え方は影を潜めつつあります。しかしながら食事が血中尿酸値に影響するのも間違いのない事実で、ビールは確かな危険因子です。一方でワインは、ほとんど影響を認めません。精神的ストレスや運動不足も良くないと言われています。


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